一部では、ひきこもりとゴミ屋敷に密接な関わりがあるといわれています。具体的に、どのような関わりがあるのでしょうか。詳しく解説いたします。
ゴミ屋敷になってしまう傾向
ひきこもりと家のゴミ屋敷化に関わっている可能性があるといわれているのが強迫性障害(OCD)です。主な症状は、強迫観念と強迫行為からなる強迫症状。手を洗ったばかりなのにまだ汚れが残っていたらどうしようなど不合理な考えが頭にこびりつき(強迫観念)、不安を打ち消すために何度も手を洗うなどの行動(強迫行動)をとってしまいます。
強迫性障害に悩まされている方の中には、大切なものを誤って捨ててしまうのでは、まだ使えるものを捨ててしまうのでは、など心配する方がいます。このような考えや行動が強化されていくうちにゴミを溜めてしまう恐れがあるのです。
強迫観念や強迫行動に悩まされる方の中には、生きづらさを感じて部屋にひきこもるようになる方もいると考えられます。2011年に行われたシンポジウム「ひきこもりネット依存」で、ひきこもりの7割は何かしらの精神疾患と診断できると発表されています。ゴミ屋敷とひきこもりには共通の原因が潜むかもしれません。
参考:小さなことが気になるあなたへ。:OCDによる引きこもりと未受診
http://ocd-net.jp/column/c_87.html
ひきこもりがゴミ屋敷を脱出するまで
続いて、ひきこもりとゴミ屋敷を脱出した体験談を紹介します。
一人暮らしをしているAさん。大学卒業後、一般企業に就職しましたが周囲に馴染めず退社しました。その後は、自分のペースで働けるアルバイトを選択。しかし、アルバイトもストレスとなりひきこもるように。極力お金をかけない生活を送るようになりました。
両親は実家へ帰るように勧めたのですが、今の生活が心地よいというAさんに帰る気はありません。久しぶりに母親が部屋を訪れるとゴミ屋敷状態になっていました。
驚いた母親は片付け業者に掃除を依頼し、本人を実家へ連れ戻すことに。しかし、本人はどれも大切な荷物だから捨てられないと答えます。母親が、大切なものは持って帰ろうと促すとゴミとしか思えないような鞄と洋服を手に取ったそうです。
結局、Aさんは説得に応じてすべてのゴミを処分することにします。後のAさんは、当時は社会に取り残されたようで劣等感があった。精神的に疲れていて片付ける気持ちになれなかった。また、社会人時代に使っていた鞄と洋服を捨てると、社会との関わりがなくなるようで怖かったと語っています。
現在のAさんは、実家で健康的な生活を送っています。部屋を片付けたことで、気持ちを一新できたそうです。
ゴミ屋敷化してしまったら?
家がゴミ屋敷化すると途方に暮れる方が多いはずです。どのように対処すればよいのでしょうか。
ひきこもりやゴミ屋敷化の原因は様々です。背後に精神疾患が隠れている場合は、専門的な治療が必要かもしれません。とはいえ、病識がなく、ひきこもっている方を受診させることは難しいといえます。精神疾患が背後に隠れている場合は、専門家の協力を得つつ根気強く対処する必要があります。
ゴミ屋敷にひきこもっている方の中には、精神疾患ではなくても心にわだかまりを抱えている方もいます。このようなケースは、気持ちを解きほぐしてからゴミの片付けに当たる必要があります。
いずれのケースも、ゴミ屋敷の片付けを得意としている専門業者に相談すれば対処できることが多いようです。豊富な経験からどのように対処すればよいか心得ているからです。まずは、今のお悩みを相談するところから始めると良いでしょう。